3月27日 月 曇り・雨!
朝、テレビをつけっぱなしで準備をしていたら、何やら怪しげなドラマをやっている。男同士で言い争った後、一人がもう一人を撃ち殺して逃げ、挙句の果てにスカーフをかぶって自殺・・・。
これはもしや、あのヴェルサーチ殺人事件の実録ドラマでは?
いつだったか、イタリアの有名デザイナーのヴェルサーチ氏が、元愛人の高級男娼に殺害され、犯人が彼のデザインしたスカーフで顔を覆って自殺した、というセンセーショナルな事件があったのでした。ドラマになってたとは、知らなかった。アメリカ製のようだけど、よく遺族が承知したなー。
全然関係ないが、犯人が元ドイツ代表のサッカー選手のマテウスにちょっと似ていておかしかった。
ようやく市内観光
グラーベン・ホテルの周辺は細い道に沿って、骨董屋などの小さな店が多くて、なかなか楽しい。ウィンドーを覗きながら、グラーツにもあったオークションハウス「ドロテウム」へ。
今日はオークションはないが、出品予定の品の下見ができるのだ。もちろん入場無料。
宮殿のような建物はまるで美術館なのに、展示はデパートの売り場のようで面白い。絵画・家具・アクセサリー・食器など、部屋ごとに分かれていて、広い。
ブリューゲルの絵が、最低落札価格1000万円くらいで出ていたが、高いのか安いのか・・・。第一ホンモノなのかねえ。アールデコの椅子が10万円くらいであったのは欲しかった。置く場所無いけどさ。
王宮はいくつかの建物の集合体で、中庭があったり、回廊があったりと複雑な形をしていて、行きたいところにどうやっていけばいいのか、よくわからない。一応地図も持っていたのだが、あまり役にたたなかった。地図を見てると、外人にまで道をきかれるし。
ハプスブルク家には収集好きな人が多かったのか、王宮にある「国立図書館」のコレクションも膨大なものだという。「世界で最も美しい図書室」とガイドには書いてあるので、見に行ってみた。
←国立図書館
「カールス教会」と同じエアラッハのデザインということで、これまた華麗な内装だった。やはり広くて天井が高い。モーツァルトなどの直筆の楽譜等も持っているらしいが、公開はしておらず、そのときは何故か中国、チベットなどのお経の展示をしていた。ウィーンまで来てお経かい、と思う日本人だった。
王宮には他に、宝物館、皇帝たちの部屋、食卓調度・銀器コレクション、礼拝堂や乗馬学校まである。宝物館の入り口もよくわからず、うろうろする。
宝物館には、神聖ローマ皇帝の帝冠や、ルドルフ2世の王冠、金羊毛騎士団員の正装一式、などなど西洋史オタクには堪らない品々が溢れている。なかでもナポレオンの息子のためのベビーベッドのケバケバシサは、天下一品。
小さな部屋が連なった分かりにくい構造で、いつのまにか前いた部屋に戻ってたり、飛ばしてしまったりする。最初は楽しかったのだが、宝石と黄金だらけで、途中で飽きてしまった。
王宮の前に、噂のオイゲン大公の騎馬像があったので、記念写真。思いのほか男らしいオイゲンだった。
オイゲン大公の像→
皇帝の部屋に行く前に、近所の「デーメル」でお昼御飯。チョコレートで有名な店だが、食事とクッキーが美味しいらしい。大理石や鏡を使ったデーメルの内装は美しくて、食事もそこそこに店内見物。
緑色のソース(バジルかなんか)のニョッキ、スピナッチサラダ、オレンジジュース。さすがにザッハトルテを食べる勇気はなかった・・・。他の二人はふわふわ卵のテリーヌのようなものを取っていた。どちらも美味しかったが、例によって量が多いのである。
日本で買うと高いデーメルのチョコも、現地でなら安かろう、と思ったら大間違い。現地でも高かった。なんで?
クッキーも高かったけど、どうしても食べたかったので一箱だけ購入・・・大事に食べよう。でもほんとに美味しくて、家族にも好評だった。
←デーメルの店内
王宮へ戻って皇帝が使っていた部屋を見る。地味で、そう広くも無いし、ベッドも狭いし、意外と普通だった。
皇妃エリザベートの部屋の方が広くて、ウェストを引き締めるための体操具なんかも置いてある。華麗な鴨居からは、体操競技のような吊り輪が2つぶら下がっていて、これで日々鍛錬してたらしい。美人も大変だ。
出てきたら雨が降っている。誰も傘を持ってなかったので、しばらく様子をみることにした。他にも雨宿りしている人がいて、ちゃっちゃっと携帯電話でタクシーを呼び出したりしている。いいなあ。
ホテルまでは歩くと15分くらい、濡れていくには長い距離だ。止まないので、結局地下鉄の駅まで走り、一駅だけ乗ることにした。
苦労したのに、ホテルに着く頃にはほぼ止んでいた・・・。まあ良くあることではある。
部屋のベッドで横になったが最後、動けない。今晩はミュージカル『モーツァルト』もあるというのに、このままでは爆睡確実だ。思い切って昼寝をすることに決定。嬉しい〜〜〜。涙がでるほど気持ちよかった(笑)
ウィーンの夜は更けて完結編
眠い眼をこすって着替えて「アン・デア・ウィーン劇場」へホテホテ歩いていく。
ここはモーツァルトのオペラ『魔笛』の初演をしたところ。もちろん当時とは違う建物だろうけど、そこでモーツァルトのミュージカルをするなんて、気が利いている。
会場前についたら、中にロココの扮装をした人が何人もいるので、役者かと思ったらモギリの人だった。私達のチケットを切ってくれたお兄さんはなかなかのハンサム。カールヘアの鬘がよく似合っていて、マイセンの陶磁人形のようだ。
人が切れた隙を狙って写真を頼むと、快く撮らせてくれた。
ロビーでは定番土産のモーツァルトチョコレートを売っている。ビュッフェでシャンパンを開けてる人がいて、かっこいいので真似をしたくなった。
「シャンパン頂戴」と言った後、値段を聞いてびっくり。ミニボトルなのに5000円以上する!!
あんまりびっくりした顔をしていたらしく、ウェイターが「大丈夫?」という風にこちらを見た。
恐る恐る「別のに替えてもいい?」と聞くと「まだ栓を抜いてないから、かまわないよ」と言ってくれた。よかったあ。
もうオレンジジュースで良かったけど、いきなり安くなるのも悪いので、スパークリング・ワイン(3000円)に変更。ああびっくりした。
そして『モーツァルト』!ブラヴォー!ドイツ語のミュージカルは初めてで、筋がわかるか心配だったが、プログラムを買ったら英語の筋書きをくれた。開演までの間に、弥生さんを中心に一生懸命、読む。
(ここから先はネタばれの危険があるので、見ようと思ってる方はご注意ください)
新作のせいか、キャスト表によるとメイン・キャストは主役級ばかり。皆存在感が有って、歌が上手い(ほんとうに上手い)。舞台装置は、シャープで洗練されている。衣装は逆に派手だった。
革新児ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(ちょっとユアン・マクレガーに似てる)は、金髪のドレッドヘアに、いくつもポケットがついたダークグリーンのズボン、ランニングなんか着ている。対する保守的なパパ・モーツァルト(美声)は、クラシックな衣装。
パパの言うなりに作曲をする、幼いアマデウス(子役)が、成長したウォルフガングの周囲に現れては消える。彼の中の大人になれない部分ということだろう。
←モーツァルト(大人と子供時代)
父親に認めてもらいたくて仕方が無い彼は、成功して得た金を父に与えようとするが、拒否されてしまう。自らの庇護のもとでの成功でなければ、容認できないのだ。だが、ウォルフにはそれがわからない。
「才能でなく、僕自身を愛して欲しい」とウォルフガングは歌う。「この金があれば、あんな仕事をしなくてもすむのに」とも。
パパ・モーツァルトは、ザルツブルグの大司教の楽団で、苦労して地位を得ていた。彼にとっては重要な仕事。
「どうして私の言うことをきかない?愛しているのに」とパパは歌う。
二人のほかにも、優しい姉、奔放な妻、がめつい妻の実家の人々、美しい侯爵夫人、傲慢なザルツブルクの大司教、調子のいい興行師などが入り乱れて話は進む。劇中劇のシーンではお約束の「魔笛」が流れて、おもわずニヤリ。
素直にストーリーに感動していた私と違い、弥生さんたちの心を捉えたのは、色物担当の大司教であった(サッカーのイタリア代表のステファノ・フィオーレに似ている)。真っ赤な衣装に、ロングブーツでイカシてる(死後?)。生臭坊主で、教会に女性を連れ込み、説教台で怪しからん行為に及んでいたり。
ザルツブルクの大司教→
そのときの衣装は素肌にロザリオをかけて、ガウンを羽織っただけ・・・。たくましい胸板を見せ付けつつ振り向くと、客席がわく。後でパンフをみていたら、その役者、この後は『ヨセフの(中略)ドリームコート』でファラオ(やはり色物)をすることになっていた。
興奮冷めやらず、劇場を後にする。明日が帰国じゃなかったら、もう一回見てもいいくらいだ。とはいえ、思い切ってチケットを取って本当によかった。
またもや開いてる店が少なかったので、多少うろうろして、アメリカンレストランを発見。ハリウッド映画のポスターや看板がいっぱいの店内で、ジャンバラヤとビール、2種類のドレッシングがついたDay&Nightサラダを食べる。久々の米が美味しいな。