3月25日 土 曇り 時々晴れ 後雨
ホテルダニエルのレストランは、ビジネスにしては広くて綺麗だ。入り口で朝刊のスポーツ欄を漁ると、昨日の試合のことはまだ出ていなかった。
ここのウェイターはとっても内気そうな若いお兄ちゃん。ほんのりと頬を染め、はにかみながら、ひそひそと注文をとるのだった。こちらもついつい声を潜めて「コーヒー1つに紅茶が2つ」・・・別に隠すことじゃないんだけど。
旅行中会った人の中で、彼が一番しとやかだった(笑)。
ヴァスティッチ求めて三千里
昨日下見をすませておいたシュトルム・グラーツのファン・ショップで、駒崎さんはお買い物。この店は海外通販をしていないので、ここぞとばかりに買い捲っている。弥生さんと私は、記念にチームのエンブレムのペロペロキャンデーを買って、駒崎さんに進呈した。白と黒のツートンカラーですごく不味そう。
1シーズンごとに試合のハイライトをまとめた、チームのオフィシャルビデオが売切れだったので、市内中心部にある別のショップに行くことになった。夕べスタジアムのショップでも買い物をしたので、これで3件あるショップ全てを回ることになる。すごいぞ、熱いサポーターみたいだ。
トルコの脅威
オーストリアはヨーロッパでも東の方で、クロアチアとも国境を接している。それだけにトルコの脅威は大きかったらしく、グラーツには世界最大の武器庫があるという。冬季は休館のうえ、開くのはガイドブックによって3月半ばだったり、4月始めだったり。ほんとに開いているのだろうか。 武器庫の甲冑置き場→
飾り気の無い4階建ての各階に、兜、甲冑、槍、銃など、当時のありとあらゆる武器が所狭しと収納(展示ではない)され、まさに武器庫。黒光りする武器は錆びないよう手入れされていて、いまだに現役だという。トゲトゲのついた棍棒とか、ギザギザになった槍とか、見るからに痛そう。こんな武器では殺されたくないなあ。どんなのならいいんだ、と言われても困るが・・・。
武器庫の隣の州庁舎は、ルネサンス様式の回廊に囲まれた中庭が自慢の、古い建物。これも現役で、案内板に役所の名前らしきものが書いてある。タバコ売り場まである。中庭では屋外コンサートをしたりするそうだ。
←州庁舎の中庭
中庭のベンチで休んでいる人が、人懐っこい白い犬を連れていた。犬好きの駒崎さんとは一目で通じ合うものがあったらしく、熱烈な抱擁を受けている。日本に残してきた愛犬ボバンが恋しい彼女は、犬なら誰でもいいという「行きずりの恋」状態。浮気の証拠にキスされている写真を撮ったので、帰ったらボバンに見せてやろう。
お昼は市内のホテル、ヘルツォーク・ヨハンでとった。建物が可愛かったのだ。ランチバイキングをしていたが、元が取れそうに無いので止めた。
すっかり癖になったらしく、又もマッシュルームのポタージュを頼んでしまった。いやーこれがおいしくって、もう。一人トマトサラダを頼んでいた弥生さんの分も半ば強引に追加して、サラダは3人でわけることにした。だって、食べないと損だよってくらい美味しかったんだもん。
そのトマトも美味しかったし、オレンジジュースも美味しかった。絞りたてで、氷も入ってないから濃厚。ヨーロッパのオレンジジュース大好きさ。パンはもちろんカイザーベーグル。
近くのテーブルにアジア人の親子連れがいて、女の子がこちらを繁々見つめていた。グラーツでは、日本人ほとんど見ないから、珍しかったのかな?
突然の遠足
城跡公園(シュロスベルグ)、それはグラーツきっての観光地。今は時計台と物見くらいしか残っていないが、昔は城砦があった小山である(これもトルコの侵攻に備えて)。グラーツはオーストリアの中でも東部だし、対トルコの前線基地だったのだな。
ケーブルカーに乗れば頂上までアッという間、というので楽勝ムードで乗り場に向かうが、通り過ぎてしまった。道はあっているはずなのに。念のため人にも聞いて確認して、引き返す。もしやこのガラーンとした建物・・・?
気がつかないのも当たり前で、乗り場は改装中で、来週再開予定だったのだった。もう一週間早くしろ〜〜。
見上げると、先程まではそうでもなかった中腹の時計台がやけに高く見える。とはいえ、ここまできて上らずに帰るわけにもいかない。第一、他に観光するところもないのだ。
うろうろと上り口を捜す。煉瓦造りの古い家の奥、子供の遊び場をすり抜けたところに、斜面に沿ってジグザグ曲がりながら続く、階段があった。狭い石段を登っていると神社参りの気分。
時計台のある中腹からは、市内が一望のもとに。起伏の少ない土地なので、遠くまで良く見える。これなら敵が寄せてきた時も、かなり遠くからでも気がついただろうな。とはいえ、起伏が少ないと寄せる方にとっても楽だからなあ。見えた後はアッという間、ということもありえる。まあ昔の戦争はのんびりしてたからね。
グラーツの街とシュロスベルグ→
私は人並み以下の体力と根性の持ち主だし、駒崎さんは膝が悪いしで、階段や坂道を、よろよろと歩き、ふらふらと進む。うっかりベンチに座ったら動けなくなってしまった。10分ほどぼーっとしていたら、比較的元気な弥生さんが
「どうしてわざわざ景色のいい方に背を向けて座っているの、私達」と言った。そういえば・・・。
途中の花壇には、背の低いチューリップ(20センチ弱)が、地面にへばりつくように咲いていた。確か原種のチューリップがこんなだったな。やっぱりトルコに近いんだなあ(注:チューリップはトルコ原産)。
なんとかかんとか、頂上につくと、峠の茶屋(カフェ)と土産物屋があった。一気に修学旅行の気分になる。観光地なんて、こんなものさ。茶屋に車が止まってるので不審に思ったら、別方向の斜面にはちゃんと車道があったのだった。ちっタクシーに乗るんだったぜ。まあ途中の道も楽しかったけど、やはり疲れた。
グラーツは今日も雨だった
街に戻ると雨が降ってきたので、イタリアン・カフェで休憩。カプチーノには生クリームがたっぷり載っていて、日本のウィンナ・コーヒーに似ている。
当然というか、こちらにはウィンナ・コーヒーというメニューはない。モデルと思われるメランジェには泡立て牛乳が載っていて、日本のカプチーノに似ている。どこかで取り違えがあったのだろうか。
あと、カプチーノにはシナモンじゃなくてココアがかかっている。ロンドンでもそうらしいので、シナモンをかけるのは日本だけ?イタリアではどうなんだろう。いつかイタリアに行ってカプチーノを飲まねば。
グラーツのもう一つの名所(らしい)は、王宮(今も役所として使われているようだ)にある、二重螺旋階段。建物は見えているのに、入り口がわからず、うろうろする。通行人についていったら、駐車場に入ってしまった。
右回りと左回りの螺旋階段が、DNAのように絡まっていて、二人で別の階段を使っても踊り場のたびに出会ってしまう。こんにちは〜さようなら〜♪と歌いながら、弥生さんと上ったり降りたり。つきあってくれてありがとう(笑)
雨が強くなってきたので、慌てて移動。どこかで雨宿りをしよう。
グランド・ホテル・ヴィースラー。偉そうな名前のグラーツ唯一の5つ星ホテル。アール・デコの内装が自慢、というのでお茶をしにいったが、クリムトのタイルの部屋はレストランだけだったので、時間外だった。
観葉植物がおいてある南国チックなバーにいくと、壁にシュワちゃんの写真。さすが大物、地元でもホテルに泊まるのか。
小ぶりになるまで待って、市電で駅前に戻る。ふと気がつくと、昨日買った24時間乗車券の時間は過ぎていた。誰もチェックしないから、乗車のときに出すのも忘れてたよ。いいのか、それで・・・。
昨日オーダーストップだった駅のレストラン、ローゼンカヴァリエ(バラの騎士)を再訪。例のノッポのウェイターが広い店内で働いていた。私達のことを覚えているようだ。ちょっとチップを弾むとしよう。
ここの、特製ウィンナー・シュニッツェルは、子牛の薄切り肉を畳んで、中にチーズとハムを挟んでカツにしたもの。たんぱく質バリバリ(笑)だが、チーズが蕩けてて美味しそう。つけあわせは小さいジャガイモを丸のまま茹でて、刻みパセリをかけたもの。
「大きいー苦しいーアツアツで美味いー」と、当日の日記に書いてある。カツも大きかったが、ジャガイモが文字通り「てんこもり」で、食べても食べても・・。と言いつつ、美味しかったのでちゃんと食べた。もちろんビールもジョッキで飲んだ。ホテルがすぐそこだと、気楽でいいな。
夏、遠からじ
さて、ヨーロッパでは今晩から夏時間が始まる。つまり時計をどうすればいいのか、初めての経験でよくわからない。明日は電車でウィーンに変えるので、間違えたら大変だ。あせればあせるほど、頭は働かないのだった。
1時間進めるのか、遅らせるのか悩んでいたら、部屋のテレビについているデジタル時計が11:59の次に、1:00になった。なるほどそーゆーことか。睡眠時間が1時間減っちゃったんだ、がっかり。ビデオの予約とか、どうなってるんだろう、とオタクくさい心配をするのだった。