これは1997年の香港旅行記です。

登場人物 :  私…アーロンファン

         瞳子さん…同上。私の同行者

         Eさん…同上。

         Uさん…同上。Eさんの同行者。

         Nさん…レスリーファン

         Kさん…同上。Nさんの同行者

         アーロン・クォック…郭富城という香港の芸能人

         レスリー・チャン…張国栄という香港の芸能

                                 コンサート中のアーロン→                            

  アーロン、コンサート中      

9月3日 水曜 曇り

 さて、今晩は香港でアーロンのチャリティー・ソロ・コンサートがあるのであった。というわけで、いざ出発。早朝のスカイライナーで成田につくも、寝ぼけていて集合場所を忘れてしまった。別ツアーのEさんがGカウンターだと言っていたので、とりあえず行ってみる。同じ会社でチケットとったからきっと同じだろう…。Eさんたちは9時45分発、他の4人は10時発のJALで、カウンターは混んでいたが、無事他の5人を発見。飛行機に乗り込むと、やはり別ツアーのNさんたちがすぐ側に座っていた。狭い世の中だわ。

 お気に入りのキャセイパシフィックと違い、機内ミュージックに香港ポップスチャンネルがあったり、香港映画が上映されたりはしないので、いきおい関心は機内食へと向かう。過去の経験から、JALのミール(特にビーフ)が美味しくないことを強調する私に、瞳子さんの表情は暗い。何の希望も持_ないで、白身魚のマルセイユ風とやらにしたら、これが美味しく、アンチョビのマリネは白ワインに良くあっていて、二人で楽しく飲んでしまった。ちょっとJALへの認識を改める。

 ほぼ定刻に香港啓徳空港に到着。返還後初の来港ということで、緊張してたのに、あまりの変化のなさに拍子抜けする。相変わらずやる気のない税関を抜け、喧騒の街なかへ。空気の匂いが中華料理店みたいで、香港に来たぞー、という実感が湧く。高級ツアーのNさんたちは送迎バスが来ているが、しがない個人旅行者は自力でタクシーに乗らなければ。何度も練習したホテルの発音は通じるのだろうか。緊張の一瞬。

「ラマダカオルーンに行って」「え?」

「ラマダカオルーン。グランヴィルロードの」「ああグランヴィルロードの」

「そうそう」通じたと思ってほっとした私に、運ちゃんが言った。

「で、どこのホテル?」

「……ラマダカオルーンホテル

 チェックインの後は両替、芸能新聞、コンビニで買い出しの定番コース。さっそくセブンイレブン(ちなみに中国語名は七時十一時便利商店)の隣のシルクショップにひっかかり、シルクのブラウス3000円也を購入。ああ散財の予感が…。

 新聞で本日の追っかけ情報をチェックして、(香港では新聞に芸能人のイベント出演スケジュールが出る)、アーロンは何もなかったので、オタクの殿堂、信和中心(シノ・センターともいう)に生写真を買いに行く。今晩コンサートがあるということは、明日写真の総入れ替えがあるということだ。今日までの写真をゲットしておかねば。

 いつもの写真屋へ行くと、売り子の女の子は私たちを覚えていた。「Hi!又来たのね。今度はいつまでいるの?」「月曜」と応えると、売り切れの写真を焼いておくから、日曜に取りに来いとのことであった。彼女は自分も今夜のコンサートに行くとチケットを見せてくれる。6列目、いいなー。結局アーロンファンなのね。貼ってあるポスターを所望すると、ファンクラブの会員証を見せろと言われた。ちゃんとナンバーを控えていたので会員にしか売らないのかもしれないが、一人で5枚も買っているのに意味があるのだろうか…。

 おなかが空いたので、バスで「糖朝」へ向かう。Eさんがここのお粥が美味しいと言ってたのだ。途中のワトソンズ(マツモトキヨシみたいな店)で、蛍光イヤリングと光る忍者ブレードを買って、コンサートに備える。ああ楽しみ。

 何となくこの辺、というところで新聞売りのおばちゃんに道を聞くと、目と鼻の先だった。大好きな蝦ワンタンメン、魚のつみれ入り粥、ジューシーなピーマンの肉詰め。だしのスープが美味しい〜。時間がないので、はふはふ言いながら(私は猫舌)熱い麺と粥をすすり、店員をせかしてデザートのタピオカ入りマンゴーミルクを持ってきてもらう。又の来店を固く誓うのだった。

 香港で流しのタクシーを捕まえるのは難しい。空車が少ない上、横付け禁止区域も多く、クーロン半島側と香港島側では営業区域が分かれてるので、自分のいるところのナンバーの車でないと、乗せてもらえなかったりする。ようやく止めた1台目に乗車拒否され、必死の形相の我々を、2台目の運ちゃんは少し考えてから乗せてくれた。法律違反させちゃったかもしれないな。

 ホテルで戦闘服(笑)に着替えて、タクシーで会場へ。「香港体育館」の発音が上手く出来ず、チケットを見せる。読んでくれる運ちゃんの発音を真似する私。

「日本人?アーロンのコンサート見に来たの?」「そうだよ」

…何か言いたそうな運ちゃん。カーブを曲がると「香港体育館」という標識があった。指差して、「香港体育館」。リピートする私。突如広東語教室と化す、車内。また標識があった。運ちゃんしつこく「香港体育館」。リピート。以下同文…。

 げらげら笑っている私たちに運ちゃんも楽しそうだ。建物から少し離れた駐車場で降りると、「あの建物がそうだよ」と何度も教えてくれる。発音できなくても、何度も来てるから大丈夫よ。振り返ってバイバイと手を降ると、あっちだあっちだと何度も指差している。いい人だあ。

紙吹雪の中のアーロン さてさて、コンサートは鬘とスパンコールとハイヒール、という宝塚一直線。どうしちゃったのよ、アーロン。何か悪いものでも食べたのかしら。来年1月には宝塚の香港公演もあるし、アーロンもきっと見に行くわ。次のコンサートで羽根しょってたらどうしたらいいの…。(ちなみに実際は羽根でなく、スパンコールのタキシード着て、大階段ならぬエスカレーターを降りてきました。合掌)

 午後11時コンサート終了後、朝成田で別れた6人で、会場前で待ち合わせ。アーロン行き着けという「寧記麻辣火鍋」へ行く。住所をタクシーの運ちゃんに見せたのに、場所を知らなかったようで近所で適当に降ろされてしまった。またも新聞売りの人に道を聞く。

 真夜中の店内には客はいるのに、店員がいない。と思ったら、客が立ち上がって迎えてくれた。さてはサクラだったか。メニュー片手に「英語か中国語を話せるのは?」という兄ちゃんの視線を、無言でかわす6人。不幸にも隣にいた私が標的にされる。

 誰も火鍋を食べたことがないので、注文の仕方もわからない。兄ちゃんが一つ一つ具の説明をしてくれ、要るかときく。お腹はすいてるの、予算はどれくらい?となかなか親切。牛肉と豚肉、白菜、ワンタン、つみれ団子、豆腐、エノキダケなどを頼んでみた。

 鍋は真中で陰陽の形に仕切られていて、辛いのと辛くないのに分かれている。アーロンの好きな辛い方は、人の食べるものとは思えないような色をしていて、湯気に当てられただけで咳き込んでしまう。どういう味覚をしているんだろう…。ごま油と葱をいれた椀につけて、ゆすぐようにして食べるが、それでも辛い。椀の中身もどんどん辛子色になっていくし。逃避で頼んだスイカジュースは踊るほど上手かった。これのためだけに又来てもいいな。

 肉と違って、ワンタンやツミレは火のとおり具合が判りにくいので、いつ箸をつけるかのタイミングが肝心。皆1番には食べたくないのだな。が、鍋の中でツミレはだんだんアヤシイ辛子色に染まってゆく。このままでは辛くて食べられなくなってしまいそう。ワンタンを食べたEさんが「粉っぽくて変な味」という。用心してしばらくたってから食べたが、普通だった。不安に思いつつも大方食べ終わった頃、店のおばさんが通りすがりに「15分ゆでるのじゃ」と教えてくれた。何故先に言わないんだ〜!!

 壁にはアーロン含め芸能人のサインが一杯。貸切なので、遠慮なく一緒に写真をとる。アーロン2日前にきたばかりだって、惜しい(そうか?)レスリーは来たことないそうだ。辛いものはお肌によくないもんね。

 午前1時に店を出て、歩いて帰る。3組ともホテルは違うけど、みなこの近所。新聞屋はやってるし、人通りも結構あるので、ちっとも真夜中の感じがしないのだった。

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