これは2000年3月のウィーン・グラーツ旅行記です

 登場人物: 安達と名乗っている私(ただのミーハー)
       駒崎さん(なぜか西洋の歴史に詳しい)
       弥生さん(なぜか美術に詳しい)
       オイゲン大公(今回の旅の陰の立役者) 

3月20日 月曜 晴れ

あるときは全日空285、又あるときは・・・

 いよいよ憧れのウィーンへ出発の日、成田で駒崎さんと待ち合わせる。 
 ロンドン留学中の弥生さんとはウィーンのホテルで合流予定。
 「ウィーンで待ち合わせなんてかっこいい!」「場所はシェーンブルン宮殿とかがいいかしら!」
「『第三の男』みたいー」などと言っていたが、ちゃんと会えるか不安になったので却下された。

 成田空港の掲示番で出発ゲートを確認する。「全日空の285・・・あれ、ないじゃん」
 なーぜーなーいーのー、と踊りかけていたら、同時刻に出発のオーストリア航空ウィーン行きの便があるではないか。
 週3便しかないマイナーなウィーン直行便が、2機あるはずはなく、共同運航のこの便には2つの名まえがついていたのだった。
 機材はオーストリーだったので、全日空の方が「源氏名」ということか。

 オーストリアエアのテーマカラーは赤と緑らしく、機内はその2色一色(変な表現ですがお気になさらず)。
 スチュワーデスはストッキングまで真っ赤だし、スチュワードも赤い三つ揃いを着た、若くてまあまあかっこいい兄ちゃんだった。彼からスポーツ欄めあてにドイツ語の新聞を受け取り、読むふりをする。 

 食事は豪勢ではないけど、量もほどほどで美味しかった。食器も赤と緑で、おままごとセットかクリスマスのようだ。パンはバスケットに入ったホカホカを兄ちゃんが配ってくれる。
 夜もしょっちゅうドリンクサービスがやってきて、渇き症の私はとっても快適だった。でも牛乳配ってるのって珍しい。

ウィーンのおじさん、親切あるね

 ウィーンの空港は思いのほかコジンマリしてて、入国ゲートなんか2つしかない(しかも混んでない)。世界有数の観光都市だと思ってたのになあ、と拍子抜け。 

 駒崎さんがお金を下ろそうとしたら、機械にクレジットカードが入らない。
「やっぱりウィーンは田舎だあ!(失礼な)」
「どうやって食べていけばいいんだあ!」とうろたえていたら、お腹の出ているゲルマンなおじさんが
「カード裏向きだよ」と教えてくれた。
 日本では模様のあるほうが表側なんだよう。礼を言ってカードを入れたら、今度は指定金額がでてこない・・・。

「やっぱりウィーンはあ!」と言いかけたところで、遠巻きに見ていた先程のおじさんが戻ってきて言った。
「限度額越えてるよ」
 さらに、出てきたお札をくずそうとしている私に「それはカード専用で紙幣は入らないんだよ」と教えてくれると、満足げに去っていった。よっぽど頼りなく見えたんだろうな・・・。

人生はすれ違い 

 ホテルに着くと、先にチェックインした弥生さんは、さっそく夜の街に消えていた(うそ)。
 待っているのも芸がないので、我々も「捜さないで下さい」と書置きを残して外出。

 通りすがりに19世紀末の著名な建築家、オットー・ヴァーグナーがデザインした「カールス・プラッツ駅舎」を見学。ウィーン風のアール・ヌーボー(ユーゲント・シュティールというらしい)がいい感じだけど、ご多分に漏れず下品な落書きはしてあった。

 いろいろ欲しいチケットがあったので、国立オペラ座(ドイツ語でスターツオーパー。何となくウーパールーパーを連想する)前の、ウィーンチケットというプレイガイドで情報を漁る。

 駒崎さんと私の大好きなロンドン・ミュージカル『ヨセフと不思議なテクニカラーのドリームコートByアンドリュー・ロイド・ウェバー』がウィーン公演をしているという情報を入手していたのだ。ぜひ行かねば〜。
 このミュージカルは以前香港に行った時にもちょうどやっていて、見に行ったのだった(そのときはオーストラリアのカンパニーだったけど)。

 1時間ほどぶらぶらして、ホテルに戻り、ようやく弥生さんと再会。
 正月に大森(東京都大田区。安達が住んでいる)で会って以来だ。あの時は3人とも風邪で、せっかくの飲み会を健全に過ごしてしまったので、オーストリアワインでリベンジを期す。

 手の早い彼女は、オペラとコンサートのチケットを既に取ってしまっていた。素晴らしい!ちょっと盛り上がったところで、ミュージカルに行くこともなし崩しに決定する。騙されてるぞ、弥生!(笑)

 7時閉店のウィーンチケットにとんぼ返りで、切符を押さえる。今日の予定はこれでお終い。
 夕食は無難にイタリアン。パスタにワインで、3人で550シリング(1シリング=8〜9円)、御飯にちょっと割高感があるな。 一杯ひっかけたらフライトの疲れも出てきたので、明日からのハードな日程に備えて、今夜は早めに就寝。

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