プロローグ
夏に入ってからだろうか、今回の旅行が現実的なものとなったのは。仕事のスケジュールからすると、10月後半に休みがとれる。イタリアに行きたい! 以前から両親もイタリアに行きたがっていた。話すと当然のように乗り気な
二人。さて、行き先は?

イタリアと一口で言っても10月になれば北部は寒い。父の体調を考えると北限ローマかな。個人旅行が自由な面で良いのだけれど、両親と一緒となると私がツアコン状態となるのは必至。今回はツアーで我慢。パンフレットを集め始めた頃、某旅行社から新コースの案内が。「シチリア&マルタ10日間」。この『マルタ』にやられた。

マルタ...16世紀オスマントルコとの戦いに敗れた聖ヨハネ騎士団が流浪の末、落ち着いた場所。私がはじめて騎士団を知ったのは、塩野七生著「コンスタンチノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」の3部作。特に「ロードス島攻防記」での騎士団の描写がたまらない。読んでいると自然と頭の中には大好きなサッカー選手Filippo Inzaghiの姿がかぶってくる。以来、騎士団にはかなり興味を持っていた。日程的にもバッチリだし、これに決めた!! 

即座に申込み。申込み時はうちを入れて5名。催行人数は10名。人数が集まるかどうかドキドキしたが、出発一月前に旅行社からの連絡。催行決定!! 決まってしまえばマルタのガイドブックを買って気持ちはマルタに。
ところで、もし両親の同行がなければ、この旅行はAzzurri(イタリア代表)追っかけの旅となっていたのは言うまでもない。期間中W杯予選のイタリアホームゲームが何と2試合もあったのだから。
(後日談:やっぱり追っかけするべきだったとちょっと後悔)

第1日 10月4日 水曜
いよいよ出発。パレルモに入るまでの長い長い1日の始まり。
朝7:30頃家を出て一路成田空港へ。団体チェックイン後、しばしロビーで休息。航空会社はアリタリア。
心配された遅延はなかったが、乗ってみてびっくり。名物?靴下がない! それに食事のメニューも配られない!どうして〜〜?

12:30発の飛行機は10分ほど遅れてゲートを離れ、まぁ順調に離陸。が、気流が不安定でけっこう揺れる。ドリンクサービスもなかなか始められない。14時頃になってやっと昼食が運ばれる。(つまり1回めのドリンクサービスはなし)Italiano か Giapponeseの選択。私はItaliano。パン、クラッカー、真空パックのパルメジャーノ・レッジャーノ、生ハムと小さく切った野菜、トマトソースのショートパスタ、ビーフのグリル。以前の方がおいしかったような...

食事が終わり音楽でも聞こうか、とイヤホンを差し込んで見ると、雑音ばかりで聞こえな〜い!!アテンダントを呼ぼうとしたら前の席でも同じクレームの様子。あわてて「ここも聞こえな〜い!」と叫ぶ。以来、私達の座っている窓側の3列の一帯だめなようで、あちこちからクレームが。アテンダントは新しいイヤホンを持って来てくれるが、交換してもやっぱりだめ。イヤホンに問題があるとははなから思っちゃいない。絶対この一帯の電気系統がおかしいはず。「やっぱりダメだよ〜」とアテンダントに言ってもらちがあかない。「こっちではボタンの操作もしているから、あとは私にもわからな〜い」と言われる始末。

もちろんアテンダントに言っても解決するとは思っていない。では、日記を書いたり、本読んだり...が、今度は途中で読書灯が消える。な、なんでライトまで。大丈夫か?この飛行機。やはり、近所の席のライトが次々と消え、しばらくすると復活した席もあったが、私のところは最後までだめだった。こうなりゃ寝るしかないか。

そういえば、女性アテンダントが増えたのよ、アリタリアったら。男性、女性同数くらいか、女性の方が多いかも。(実はちょっとがっかりだったわ)
映画は4本も上映された。多すぎるんじゃない? おかげで、今どこを飛んでいるのかの表示がまったくないため、時々窓を開けて確認。と言っても、シベリア上空かシベリア過ぎたかくらいしかわからないけどね。

何本めの映画の時だったか、軽食(サンドイッチかおにぎり)が配られる。今までは自分で取りに行っていたのに、来月からの全便共同運航に向けての変更だろうか。もしや、靴下もそれでなくなったのかな。
でも、メニューがないのはちょっとねぇ。

ミラノ到着2時間前くらいかな、夕食のサービス。選択の余地なし、おまけに軽めのメニュー。パン、クリームチーズ、ローストビーフとハムにカルチョーフィ(アーティチョーク)の付け合わせ、ケーキ。まだ映画が続いていたけれど、窓を全開に。だってライトつかないんだもの。早々に食事を終え、外の景色を楽しむ。左側の席だったので、フランス側のアルプスは見れなかったが、スイスの山々を越えイタリアに入ったことを実感。ひとつ、ふたつ、と湖が見えてくる。ひときわ大きな湖を見て勝手にコモ湖と決めつける。コモ湖しか名前知らないもので...あはは。

ほどなくしてミラノに到着。私達はローマまでなので、そのまま機内待機。
かなり空席ができたので、ミラノからの乗客が乗り込むまでは席を移動して長〜くなって寝る。これが予想外に熟睡できるんだわ。2時間余りの待機だったけど、あっという間だったもの。

19:40頃ゲートを離れ、さぁローマへ。外はもう暗い。夏は21時頃まで明るいのに、秋なのねぇ。途中ドリンクとビスケットのサービスはあるが、あっという間にローマ到着。
入国審査の混雑や両替えなどの時間も考えて、さっさと歩く。入国審査はわかってはいたけれどフリーパス。係員は電話しながら手で行け行けと合図する。入国審査も両替えも混雑はなく再び休息。
ガゼッタを探したけれど、どこも売り切れ。比較的多くの新聞を置いた店を覗くと、TUTTOとコリスポ発見。どちらにしようかとチラチラページをめくったらピッポインタ発見。迷わずTUTTO購入。

パレルモ行きのゲートでしばらく待っていたら、ゲート変更に。遅れるの? えっ、1時間?移動してロの字に並んだ椅子を占領。添乗員さんを含めて10人なので、初対面でもすぐに馴染んでしまい、様々なトラブル話に花が咲く。やっと飛行機に乗り、わずか40分程の飛行でパレルモ到着は日付け変わって5日の0:05。心配していた荷物も無事に出てきてホテルへ。

迎えのバスは荷物を積み込む関係で立派な観光バス。ひとり1列状態でのんびり座る。快適かも。ホテルに着いたのは1:30。明日からの観光にそなえてさっさとベッドへ。あぁ、長旅だったよ〜。

Grand Hoter et des Parmes 泊

第2日 10月5日 木曜
シャワーを浴びるために少し早起き。な、なんと雨音が。しかも雷まで。げっ。
朝食後、となりの新聞スタンドでガゼッタ購入。まだ小雨が降っている。早くやんでよ!

ホテル出発は9時。ロビーへ降りると晴天! ホッ。
今日の観光はパレルモ市内が午前中渋滞するとのことで、近郊のソルント、チェファルからパレルモに戻るコース。市内を抜ける途中、ガソリンスタンドに長蛇の列。石油価格が高騰し、スタンドへのガソリン供給がままならないという。多くのスタンドは休んでおり、ガソリンが入るらしいスタンドへ車が集中するらしい。このスタンドにはまだガソリンが届いていないようで、警察やカラビニエリ(陸軍警察?)までも出動していた。

サボテンさて、観光地のパレルモやソルントなどは紀元前8世紀にフェニキア人が入り、後にギリシャ人、ゲルマン人等多くの民族の支配を受けたとか。ソルントではフェニキア人が造った街が一端破壊され、ギリシャ人の手で再建され、後にローマ帝国に支配されたという遺跡の見学。
1955年から調査が始まったばかりで多くのことはまだわかっていないらしい。庶民の家、上流の家などの跡が。
中にはモザイクの残った床やフレスコ画の残る壁も。サボテンが多く実がちょうど食べごろ。後日昼食時に食べたけれど、なかなか美味しかったですよ。
←今が食べごろ、サボテンの実

次はさらに東、チェファルへ移動。車を降りてティレニア海沿いを歩き、街に入る。まず大聖堂の見学。1138〜1240年、ノルマン人ルッジェーロ2世によって建てられたもの。ファザードは15世紀に入ってからのものらしい。中はモザイクと最近になって造られた変わったステンドグラス。このステンドグラスは新約聖書を表しているらしいが、まったくわからない。だって、絵になっていないんだもの。
少し街を自由に散策。魚の形の絵皿を購入。美味しそうな果物がたくさん売られているが、大好きな赤いオレンジ(サングイネッラ)は見当たらない。聞くと11月から5月にかけて収穫されるとか。1ヶ月先かぁ、残念無念。
シチリア名物、フルッタ・デッラ・マルトラーナ。
アーモンドを挽いた粉と砂糖で作るらしい。
お菓子

散策も終え昼食のレストランへ向かいつつ、昔洗濯場として使われていた場所を見学。水は思ったほど冷たくなかった。 さて、さて、昼食。これが美味しかったんだわ。リングイネ・アッラ・ペスカトーレ、サラダ、魚介のフライ(いか、えび、いわし)、メロンとぶどうの盛り合わせ。特にリングイネとえびが最高! メロンは隣のテーブルで足りないと騒いでいたので、ぶどうと交換してあげた。このぶどうも美味しかったぁ。あ、飲み物はいつもワインです。

リングイネ 魚介のフライ
   リングイネ・アッラ・ペスカトーレ、魚介のフライ。美味!

食事が終わるとパレルモへ。やはりパレルモ市内に入った途端に渋滞。ガソリンスタンドには相変わらず長蛇の列。おまけに何十台ものトラックが路上駐車。これはガソリン価格の高騰に対するショーペロ(スト)。わざと道を狭くして渋滞をおこしているわけ。しかし、トラックにはたくさんの荷が積まれているけど、これってどうなるわけ? 

ようやく大渋滞を抜け、ノルマン王宮へ向かう。観光客入口までいくと何と閉鎖。ここは現在州議会場として使われており、例の石油価格高騰の件で討議がなされているのか、議会で観光客の入場禁止を決めたとか。議会の決定であれば仕方ないけれど、パレルモでの一番の楽しみが、この中にあるパラティーナ礼拝堂だっただけに大ショック。周囲を歩きながら大聖堂へ向かう。

ここにはルッジェーロ2世が自分のために造らせた赤大理石の立派な棺があるが(チェファルからパレルモに運ばれた)、この中に入っているのはフェデリコ2世で、当のルッジェーロ2世は奥にある何も彫刻のない棺に入っているとか。理由は知らんがかわいそうに。 次はカプチン派のカタコンベに行く予定だったが、ここに通じる道路がショーペロで封鎖されているとのことで、急遽マルトラーナ教会(通称)へ。

2つの教会この教会はパレルモ市民の一番好きな教会だそうで、結婚式をここで挙げるのが夢という。入口附近にはたくさんのお米が。中にはパラティーナ礼拝堂のモザイクと同じ作者の手によるモザイク。でも、パラティーナを知っている人の話によると、全然違うらしい。やっぱり見たかったな、パラティーナ。
マルトラーナ教会の隣にはガイドブックよく見る赤いドームのサン・カタルド教会。どちらも12世紀に建てられたものだが、マルトラーナはノルマン様式、サン・カタルドはノルマン・アラブ様式でまったく外観が異なるのがおもしろい。 今日の観光はこれで終了。
←サン・カタルド教会(右の赤いドーム)とマルトラーナ教会

ホテルに戻ってから周辺を散歩したが、これといっておもしろい店はなかった。薄暗くなってきたので足早にホテルへ戻る。夕食はホテル内。ラザーニャ、サラダ、鯛のようで鯛でない白身魚のグリル、ジェラート。ラザーニャの量がちょっと多かったのだけど、ついつい食べてしまったらセコンドの魚が半分しか食べられなかった。だって、私としてはプリモの方が好きなんだもの。そしてジェラートも。

第3日 10月6日 金曜
今日はパレルモともお別れ。あっという間だったわ。当たり前だ、正味1日しかいないのだから。
朝食後、例によってガゼッタを買いに。あっ、昨日は気付かなかったけど、うらゆべとグエリン発見。当然購入。
ところで、新聞名とか雑誌名なんて一部の人しかわからないわね。お許しを。とにかくスポーツ新聞と雑誌を買ったのである。うん、満足。

今日の行程はエンナ-ピアッツァ・アルメリーナ-シラクーザ。
さて、出発。あれ?昨日とバスのデザインが違う。昨日のバスはガス欠で車庫入りだって。ガソリン補給ができません。他にも3台が車庫入りとか。大変だぁ。で、このバスは急遽手配した車でチェファルから来てくれたらしい。この運転手がなかなかいい男。う〜ん、ジラを大人にしたって感じかな。あ〜、これもわからない人多いですよね。許して〜。とにかくいい男だったのよ。だが既婚...しょぼっ...
                      路肩に止めたトラック群の隙間を乗用車が通ります。→
さぁ、気を取り直して(?)、エンナへ出発。途中、相変わらずのトラック群。慣れるとなかなか楽しい光景でもある。高速道で小休憩するが、なにやら怪し気な天気。さっきまでは晴れていたのに、どんよりとした雲が。エンナでの天気が心配。

エンナは「シチリアの展望台」といわれる丘の上の街。街から少し離れたロンバルディア城跡に残る塔の上からの景色が有名。途中晴れたり曇ったり、でもエンナは晴れていました。バンザ〜イ! 坂をぐんぐん登る車窓からのロンバルディア城はなかなかのもの。塔の細い階段を登り、さて見晴しは...ちょっと霞んだ感じはあるものの、きれいに見晴らせます。シチリア最大の山、エトナ山は山頂部分に大きな雲があり、裾野が少し見える。あれがエトナ山と気付いたのは私だったのよ。ちょっと自慢!
←塔の上から見下ろすエンナの街

 

次はピアッツァ・アルメリーナへ。ここはカザレの別荘で有名です。ローマ時代に造られた別荘だけれども、大邸宅なんてもんじゃない。いったい何十個部屋があるの? 傾斜地を利用した3層構造で、地下に風呂場。それもサウナやら暖かいお湯から冷たいお湯まで何種類かの風呂がある。風呂に入る前に運動するための部屋の床にはチルコ・マッシモのモザイク。1階と2階は客用の部屋とプライベートの部屋がずら〜〜〜り。魚釣りするキューピットのモザイクがある食堂(だったか?)は、魚が肉より高価な土地なので、豊かな食事をしていることを表しているとか。とにかく想像を絶する大金持ちの別荘だったわけね。観光客がものすごく多くて大混雑だったけれど、ガイドブックに出ているものも含めて、なかなか見ごたえのあるモザイクが多かったです。
魚釣りするキューピッドのモザイク
                  (一部)

お次は楽しみな昼食。ピアッツァ・アルメリーナの小さな店での食事。マメのスープ、サラダ、ビーフの煮込み、小さなお菓子。スープにはそら豆や小さな豆とお米。ビーフの煮込みは程よい辛みで食欲をそそります。うん、美味しいよ〜。

食事が終わるとシラクーザへ。途中何度か突然の雨。すぐに止むのだけど、遠くでは稲光りも。16:30頃ホテルへ到着。散歩しようかとも思ったけど、疲れていたのでベッドでゴロゴロ。外に出た人の話を聞くと、じきに雨が降って遠くには行かれなかったとか。

夕食はホテルで。魚介のリゾット、チキンの香草揚げ(ミラノ風カツみたいに薄〜いチキン)、ミルクのムース。南でリゾットが出たのが意外。でも美味しかったぁ。夕食が終わって時計を見ると20:45。今日はU-21の試合。が、新聞でジラはベンチ入りもしていないことを知っていたのでちょっとのんびり。ノヴァラは雨上がりのようで、15分ほど経過していたけどほとんど全員のユニフォームは泥にまみれている。吐く息も白くて寒そうだ。ボールコントロールがうまくいかないのか、パスミスも多いし、なんだかパッとしない展開。寝転がって見ていたら時々寝てしまった。カッサーノの絶妙のループシュートは惜しくもパンチングで防がれる。結果は1-1だったはず。

暇さえあればメディアセット系のチャンネルに合わせてるのだけど、まだダネッテのCMには巡り合えず。ペプシのピッポ缶も見当たらないし、もう終わっちゃったのだろうか。

Jolly Hotel Siracusa 泊

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