短い夏休み…でも温泉に行くぞ!

月遅れのお盆も迫ってきた2001年の8月2日のお昼休み、いつものように食事を済ませたあと大ファンであるイタリアのサッカー選手、Filippo INZAGHIにお誕生日カードを送るために郵便局へ行き、カードも送ってほくほく顔で会社に戻るその道すがら、突然携帯電話が鳴り出しました。

電話の相手は母。明るい声で「会社の夏休みっていつだっけ?」との問いに、何の疑問も持たずに「13、14日の2日間よ」と答える私。すると「温泉行くんだけど、一緒に行く?」と。温泉と聞いて私が「え゛〜?行かなぁい」などと返事をするはずがありません。1も2もなく二つ返事で「行く行く、行く〜」と即答したことは言うまでもありません。

行き先は群馬県の水上温泉。確か以前に社員旅行で行ったことがあるような気もするけれど、まぁいいか。なんたって温泉に入れるんだから。欲を言えば12,13にしてくれた方が14日は一日ゆっくりお疲れ休みができてありがたいんだけど、なんたってこのお盆の時期、しかもこんなに差し迫ってからの予約なので、希望通りにはいかないものです。

とは言うものの、会社にはしっかりと「15日、お休み頂いてもいいですか?」と聞く私でありました。ま、仕事の方も忙しくない時期ということもあり、お休みについては快諾を頂いたので、これで安心して温泉に行けるってものです。

当日は朝10:00に上野駅を出る新特急「水上3号」。あれ?特急と新特急の違いってなんだ?そんなことを考えつつ電車に乗り込むと、さすがに満席。しかも喫煙車両というのが哀しかった…。ま、それも仕方ないんだけどね。とにかく2時間半ガマンすればいいんだもん。

車内ではいつになく爆睡できず、ちょっとご機嫌ナナメ。それというのも後ろの席にいた20代前半と思われる女性2人の会話があまりにも、あんまりだったから。だって水田みて「わー、畑がいっぱい」とか『伊香保温泉』の看板を見て「いなほ温泉?」と読み上げるし。をいをい、「いなほ温泉」って私の温泉かい?

水上駅そんな会話を聞いているうちに電車は水上駅に到着です。ちなみに後部席にいた彼女達は水上でラフティングをするようで、やっぱり終点の水上で下車していました。ラフティングかぁ、いいな、やりたいなぁ。

ホテルさて、今日の宿泊ホテルは駅のすぐ側にある「○の井ホテル」です。えっ?なんでホテル名を伏字にしたかって?だって、だってね…。(←思わせぶりであーる。)
ところでホテルのチェックインは午後2時なので、時間があまりすぎになってしまいます。そこで昼食がまだだったこともあり、ホテルからの迎えのバスを断って、駅前で食事をすることに。さすがに自然がいっぱい。食事中に大きなとんぼも飛んでいました。う〜ん、大自然だ。             
ホテル名、読める?→

食事も済んで、さぁ、ホテルへ。駅前を流れる川をはさんで、すぐ目の前に見えるホテルなので迎えのバスを待つまでもなく、川に架かるつり橋を渡ればもうホテルの敷地内です。うーん、近いぞっ!

しか〜し、この近さが災いなのだ。そう、まだチェックインタイムにはなっていないのであった。部屋の用意がまだできていないため、ロビーで待つことに。ロビーにはそんなお客さんがいっぱい。早く着きすぎるのもナンだけど、これってちょっと問題アリなんじゃないのぉ?でもロビーではホテル側が用意した飲み物を飲みながら待たせてもらっていたので良しとするか。

さて、やっと時間になり部屋に案内されることに。うちの部屋は最上階である10階。おぉ、眺めがよさそうだ。部屋に案内される途中で、大浴場の場所と露天風呂の場所も説明され、もうわくわく。でも大浴場と露天風呂がかなり離れているので、一度に両方は無理みたい。な〜んだ、つまんないの。

カヌーする人々部屋に案内され、荷物を置いて窓から外を見ると案の定眺めはバッチリです。前の川ではラフティングならぬカヌーを楽しむ人たちも見えました。うーん、気持ち良さそうだなぁ。ととと?視線をホテルの敷地内に移すと、私達の眼下には湯船らしきものが。あれってひょっとして露天風呂?だとしたら部屋から丸見えって事?ま、まさかね…。
←10階の部屋から光学10倍ズームの威力発揮で撮った写真であーる。

露天風呂は午後3時から11時までと、午前6時から9時までの営業時間となってます。今はまだ午後2時半すぎ、残念ながらまだ露天風呂はやっていないので、とりあえず大浴場で汗を流して、露天風呂は夜入りに行こうっと。

大浴場は結構空いていて、の〜んびりゆっくりお湯につかって、気分は極楽、極楽〜。あぁ、しあわせ。やっぱり温泉はいいなぁ。と思ったら、なぜか外にあるプールから風呂場が見えることが発覚。げげ、このホテルの造りって一体どーなってるんだ?ちょっと慌てていた私。さらにびっくりしたことには小学校時代の同級生のお母さんにも会ってしまったのでした。ちなみに同級生(男子)も家族と一緒に来ているとのことで、このあとエレベータ内でバッタリ会ってしまったのでした。

一っ風呂あびて気分良く部屋に戻り、フト窓から外を見ると、げげー、やっぱり眼下に見えているのは露天風呂でした。だって入っている人達が丸見えだったんだもん。これじゃあ露天風呂に入れないじゃなぁい。私達の部屋から見えるってことは多分他の部屋からも見えているはず。イヤだなぁ、露天風呂を楽しみにしていたのに…。

夕食♪そんなことを思っているうちに夕食の時間になり、夕食の部屋に移動です。楽しみな夕食、今日は何が食べられるのかなぁ?とは言ってもここは水上。海がある訳でもないので新鮮な魚介類は期待するだけ無駄ってものです。きっと山の物がメインでしょうねぇ。

メインはお肉のようだったけれど、野菜、しかもキャベツがたっぷり入った1人蒸し鍋はなかなかおいしかったです。タイの尾頭付きが出てきたときにはちょっと驚いてしまったけれど、品数も多くてお腹いっぱいになってしまったのでした。やっぱり温泉にきての楽しみのひとつがお料理だというのは言うまでもないですね。                        何も乗っていないお皿はこのあとスープが来るのでした。→

部屋でしばらくの〜んびりしたあと、覗かれるのを覚悟しつつ(?)露天風呂へ。部屋から見えてた感じでは露天風呂の全部が見えていたわけではなさそうなので、なんとか露天風呂も楽しめるかな?といった感じかな。せっかくの温泉なんだもん、露天に入れなかったら意味ないですものねぇ。

露天風呂は部屋から見えた部分だけではなく、湯船が2つあり、結構楽しめました。いいお湯でまたしてもゆっくりのんびりできたのでありました。あぁ、温泉を満喫できてしあわせ〜♪

夜はすることもないので、私にしては珍しく早寝をし、明日の早朝の露天風呂を楽しむべく眠りについたのでありました。

朝は6時からの露天風呂にあわせて起床。おぉ、私らしくなく早起きだわ。寝ぼけまなこもなんのその、朝風呂に直行だぁい。朝の露天風呂は意外と混雑していてちょっとびっくり。みんな考えていることは一緒なのね。

朝風呂のあとは朝食。この朝食の部屋がすんごーく、わかりづらい!説明では「フロントのある2階まで降りたら、フロントの向こう側にエレベータがあるのでそこから3階に上がってすぐです」というものでした。で、その通りに2階まで降り、フロントを通り過ぎエレベータに乗って3階で下りてみると客室ばっかり。あれれ?すると客室係りの人がいたので朝食の部屋である『春日』の場所を聞くと2階だと言うじゃありませんか。

朝食♪2階に降りてホテルの人に聞くと『春日』は3階だと言う。一体どこなのよっ?お腹空いているからイライラしてきたぞ。えーいっ、なんてわかりづらい場所なんだっ!やっとたどりついた『春日』は大広間に整然とテーブルが並べられ、各テーブルの上はすっかり朝食の用意が整っていたのでした。あれ?バイキングじゃなかったの?バイキングだって聞いていたのに。

朝食メニューもこれまたたくさん。おでんあり、イカそーめんあり、温泉たまごありって感じで書ききれないぞ。朝からこんなに食べていいのだろーか?でも朝風呂にも入った身としてはお腹空いていたのであった。残さずしっかり食べた私って一体…。

朝食が済んだら10時のチェックアウトタイムを待たずしてチェックアウト。今日はこれから定期観光バスに乗って水上周辺の観光です。ところでこの辺って何があるんだろ?

定期観光バスは駅前のバス乗り場から9時50分に出発します。出発時間が来るまで駅前にあるお土産やさん兼喫茶店で時間をつぶすことに。こぎれいな喫茶店で、時間をつぶすにはぴったりののんびりした雰囲気でした。

定期観光バスのコースは、水上駅→藤原湖→奈良俣ダム→須田貝発電所→藤原郷→谷川岳ロープウェイ→天神平→水上駅という約5時間のコースとなっています。帰りの電車が午後4時40分の水上駅始発なので、ちょうどいい時間ですね。

奈良俣ダム 奈良俣ダムというのはロックフィル式という岩塊を積み上げる工法で作られたダムで日本一だそうです。用途は洪水対策他ということで、さすがダム、山の中にあり空気もきれいでいい感じです。ま、私としてはこの夏の渇水が気になっていたので、このダムのかなり上流にある「八木沢ダム」の見学に行ってみたかったんですけどね。
←この写真の左2/3部分がロックフィル式

 こっちはダム湖。水量が多く見えるけどこれでも少ないらしい。→

発電所の見学は小学生の理科って感じでなんだかなつかしかったな。昼食は藤原郷で。ここでは落人料理の「ざるめし」というのが有名らしいけど、ざるめしってなんだ?ざるに盛っためし?と思ったらホントにそのまんま、ざるに盛っためしでした。最もちゃんとおかずも盛ってありましたけどね。←でもこのざるめしは食べなかった;;;

ロープウェイ谷川岳ロープウェイは、これがまた速さ日本一と言われるもので、2.3kmを10分で渡ってしまうというものです。秒速4mだって。速いよね、それって。
←ロープウェイ内から谷川岳もよく見えましたっ♪

せっかくロープウェイで天神平まで上ったのだからこの際リフトに乗って天神峠まで行ってみることに。人生このかたスキーなどやったことのない私は、リフトに乗るのも2度目くらいかな?高いところは好きなので、怖さっていうのは感じなかったけど。

片道5分かけて天神峠まで登ってみると、少し雲がかかってはいたものの谷川岳がよく見えて雄大でした。登った甲斐があったというものですね。

今日の観光はここでおしまい、バスはこのあと一路水上駅を目指します。途中の道路混雑もなんのその、ちゃぁんと時間通りの午後3時に水上駅に着くというところはさすがプロですね。

カフェオレ。で、でかいっ。帰りの電車まではまだ1時間半も余裕があるので、駅前でお土産など見て、さらに時間もあるのでお茶でも飲みながら待つことに。すると4時頃から突然の大雨が。山の天気は変わりやすいっていうし、上州は雨が多いっていうのも本当なんだなぁ、などとその時はのんきに思っていたのですが、この雨が電車の運行に支障をきたすなどとはそのときは誰もが予想していなかったのでした。
   
豪雨のためヒマつぶしに撮ったカフェ・オ・レ。普通のコーヒーカップと比べるとこんなに大きいっ!→

午後4時半近くになり、そろそろ駅に入ろうと思ったら、なんだかやけに改札の辺りが混雑している。しかもなんだか殺気だっている人が多いのはなんで?窓口では駅員と乗客らしき人が言い争っているような感じもするし、と思ったら、私の隣にいた人が「さっきの大雨で電車が途中の沼田駅で止まったまま、水上駅まで来られなくなったらしい」と言っているのが聞こえてきました。

すわっ、マジ?でも駅員からは何の放送もなく、ましてや張り紙などもなく、事態は全くわからない状態です。混雑にまぎれ、父が窓口の駅員に「電車は来ないんですか?」と確認したところ、駅員も相当殺気だっていたのか「代替のバスが出ますっっっ!」とそれだけしか教えてはくれませんでした。

代替のバスが出ることはわかったけれど、いつ?乗り場はどこ?駅員の誘導もなく、駅にいる人達は一種のパニック状態です。私達家族はひたすら駅員の同行を見守りながらこの後の展開を考えていました。5分程経った頃、路線バスが2台連なってやってきました。気の早い人達は代替バスと思い、路線バスに乗り込んでいましたが、ごく普通の路線バスと言われ降りてきました。

そこから更に待つこと10分強、やっと代替バスが1台やってきました。でもそのバスって先ほどからずーーーーーっと駅前に止まっていた観光会社のバスで、これを使うんだったらもっと早くに使えばいいのに!と思ったことは言うまでもありません。でもこのバス、45人乗りのバスです。駅で待っている人達はどう見ても70人を超えています。しかも整列もさせていなければ、この状況になっても乗り場の案内はありません。

殺気だった雰囲気を察したのか、駅員は「このバスに乗れますから」と説明したものの、どう見ても全員乗れるはずもありません。それでも駅員は「大丈夫ですっ、全員乗れますっっっ!」の一点張り。いや〜、どう見ても無理だと思うんだけどね。

バスの動きを見守っていた乗客達は、バスが止まるや否や座席確保のため我先にと乗り込もうとします。こうなってくると子連れだろうがお年寄りだろうがお構いなしになってしまいます。こうなるのがわかり切っていたことなのになんで整列乗車させないのかなぁ?ちょっと駅員の要領悪すぎ。

私達家族はなんとか乗り込んで座席も確保できたものの、気の毒な何名かの人たちは座れもせず立ったまま沼田駅まで行くことになってしまいました。バスの窓から外を見ると、やっぱりバスに乗れない乗客達がいて、その人たちはバスのかわりにタクシーに乗るように指示されていました。あらら?じゃあこのバスに乗っていて座れなかった人たちの立場がないじゃないの。

やっと動き出したバスは約30分をかけて水上駅から電車の待つ沼田駅まで移動です。懸念された道路混雑もなく無事に沼田駅に着き、待っていた電車に乗り込むことができました。結局電車は定刻より40分ほど遅れて沼田駅を出発しましたが、雨のため、特急電車のみならず普通電車も動いていなかったため、新前橋まで各駅停車での運行になってしまいました。ま、家に帰るだけだし明日も仕事は休みだからゆっくり帰っても差しさわりがないのでいいんですけどね。

それにしても水上駅の対応の悪さは一体何だったんでしょう?雨で電車が止まってしまうことなど日常茶飯事なので慣れっこになっているのでしょうか?でも駅員は慣れっこでも温泉客は慣れっこではないはず。だとしたらもっときちんとした対応をしてもらいたいものです。せっかくの温泉旅行だったのに一番最後で変なケチがついてしまったものです。JRに苦情訴えちゃおうかなぁ?などと思いつつ、今回の温泉紀行はこのへんで。次回はいつどこの温泉になるのかなぁ?

【HOME】 【Menu】