こんな温泉はイヤ〜〜ッ!(T-T)の巻

温泉、その魅惑的な響きに勝てる日本人がいるであろうか?
いや、私の知る限りそんなに私に挑戦的な人はいない・・・(ホントか?)

この温泉記はミレニアムを間近に控えた1999年12月の出来事である。
旅したのは、咲矢(さくや)、秋桜、小麦、そして私、稲穂の4名である。

いつものようにお昼ご飯を食べながら「温泉に行きた〜い」という私に小麦、秋桜が乗って来て、早速小麦が「○ゃらん」を買って
来て探す、探す。ここら辺で咲矢も参加決定!

「○ゃらん」で見つけた温泉は湯河原の「○×園」という温泉宿。これは私の「畳の上でゴロゴロしたい」という希望で和室である
こと、小麦の「部屋数がなるべく少ない和風宿」であること、秋桜の「リーズナブルな料金」であること、そして全員の「露天風呂
があること」がこの宿を選んだ利用であった
はずだった。
ちなみにこの宿にはHPもあり、見た感じとてもいい雰囲気だった。しかも温泉貸し切りできるっていうし。

12/3、温泉に行くその日がやってきた。AM11:00に東京駅で待ち合わせをし、時間がないといいながらも、私の「コーヒーが
どうしても飲みたい」というわがままに付き合う3人。すまないねぇ。
地下のスターバックスでコーヒーをテイクアウトしようとしたらエスプレッソ・マシンの故障でカフェ・ラテが買えなかった。(T_T)
仕方なく普通のブレンドを買い、店を出たところで脇見をしながら歩いてきた女とぶつかりコーヒーをこぼす。熱いじゃん。
「あやまれ〜、ばかぁ〜」とむなしい私の叫び。思えばこれがこのヒサンな温泉旅行を暗示していたのかもしれない・・・。

湯河原到着〜! 東京駅から快速アクティで一路湯河原を目指す、私達4人。この間、電車の中でしゃべり倒し。
毎日会社で会っているのに、何をそんなに話すことがあるのか状態であった。

湯河原到着、ちょっと寒い。お天気はいいのに。とりあえず駅周辺でお土産やさんを見て廻り、
お菓子、飲み物等を調達してからバス乗り場へ。ここからバスに乗り、今日の宿「○×園」へ。
教えられていたバス停で降りると、目の前に看板が出ているはずだったが、あれ?ないよ・・・?

キョロキョロすると、とても人目につかなさそうな場所に「○×園」の看板がひっそりとありましたよ。
宿の入口前はちょっとした坂道で「心臓破りの坂」と命名してあげた。(勝手に!)
坂を登りきった私達の目に映ったものはHPで見た宿とは天と地ほどの差があるどう見ても傾きかけた、そして「こじんまり」と
いうのと違う「ちゃっちい」と言った方が正しいような宿の姿だった。

唖然としながらも気を取り直し玄関に入ると、とりあえず宿の人が出て来て「ようこそ」と言った。続けて、「どうぞ、お上がりを」
そう言われて上がろうと思い、スリッパを見ると履くことをためらわざるを得ないような、ビニール製のうす汚れ、壊れかけたスリ
ッパが整然と並べられていた・・・。

「どれを履こう?」考えることはみな同じ。4人が4人とも一瞬のうちにその中で比較的キレイで履いてもよさそうなスリッパを探し
出す、その姿はさながらスリッパ強奪戦状態。こんなとき、一番わりをくうのは必ず決まって「咲矢」である。とにかく上に上がり、
チェックイン。部屋に通されると、その部屋は角部屋だった。

部屋に案内してくれた仲居さんがやけに力強く引き戸をあけ、同じような感じで襖もあける。なぜそんなに力強い?そんなことを
思いながら部屋に上がると・・・。

「うっ、畳が汚い・・・。これでは憧れの畳の上でゴロゴロができない。」私の心の叫びを一瞬の沈黙の中に感じ取る3人。
仲居さんが去ったあと(お茶も入れてくれなかった。)とりあえず荷物を置き、部屋を見回すと、部屋の中心に立つとどちらを向い
ても「つま先さがり」に部屋が傾き、襖はきちんと閉らず(傾いているので、下がぴっちり閉っても上には隙間)、部屋の隅には埃
があった。絶対この部屋の中心にビー玉を置いたら転がっていくな、と思うほどの傾きなのよね。そっか、だからあんなに力強く
引き戸を開けたのね、納得。しかも障子や襖には破れが目立っていた。

少しばかり(いや、随分だ)哀しい気持ちになりつつ、小麦がお茶を入れてくれたので飲んでみたら、これがひっじょーにマズイ
お茶だった。(哀しさ倍増)
気を取り直して温泉の見学に行くことに。とりあえず、メインは温泉なんだしね。部屋を出ようと思ったら、脱いだままの状態の
スリッパが!普通仲居さんって部屋を出るときに揃えていってくれるんじゃないの?

この宿の売りは「ゴンドラ風呂」というから興味しんしん。ゴンドラというからには、
1.ゴンドラに乗っていく処に温泉がある。
2.ゴンドラに乗った状態で温泉につかる。

ということを考えてみたんだけど、残念ながら、ゴンドラ風呂は故障中とかで入ることはできなかった。しかも、ゴンドラ風呂の
場所さえ不明、一体どこにあったのだ?結局普通の内湯と露天風呂、それに家族風呂というのをささっと見学して、夕食に
なった。

夕食はお部屋食。これは小麦のこだわり。先程の仲居さんがお食事を運んできたものの、なにやら足りない物があったのか、
いなくなってしまった。あの〜、暖房が入っているのでお刺し身の鮮度が落ちるんですけどぉ。肉類に対してアレルギーの
ある秋桜は「お刺し身が心配」とつぶやくし、仲居さんは一体どこへ?

夕食風景 しばらくして仲居さんは戻ってきた。そして配膳へと作業は移る。そこで私達が目に
した光景はっ!
お膳の上に運ぶお刺し身や天ぷらの器の中にしっかりと入っている指!
「ぐぇぇぇぇ、うそだろぉぉぉ?」いくらなんでもお客様のお食事の中に指を突っ込むか?
もう食べる気しない〜〜;

私達の気持ちも知らずに仲居さんは「ごゆっくりお召し上がりを」と言って去って行った。
ゆっくりなんて召し上がっていられるかいっ!
ところで気になる食事の内容は?というと・・・。
お刺し身(舟盛などという豪勢なものでは決してない)、天ぷら、1人鍋、焼魚、酢の物、
漬物は4人分が一緒盛、そしてデザートはなんとみかん、というなんとも貧相な内容。
とほほ・・・。

食事時の話題はなんと言っても、食事前に見てきた温泉のこと。ナゾのゴンドラ風呂はどう考えてもナゾ。だって、1.だとしたら
ゴンドラのりばがなくちゃいけないけど、そんな物はなかったし、2.のゴンドラに乗ったまま温泉につかるって「カニの浜茹で」じゃ
ないんだから!でも考えられるのは2.でしょう?4人とも
「ゴンドラなんか吊っているから宿が傾くんじゃん」と文句ぶちぶち。

そしてかろうじて見学できた内湯の話題も。温泉宿と銘打っているのに異常に狭いお風呂。そしてこれまたナゾの家族風呂。
この家族風呂の狭さがハンパじゃないっ!家族風呂って狭いものだとは思うけど、いくらなんでもこの狭さは反則。さすがに
ここには入ることにはしなかったけど。そしてあっという間に食事も終わった。

さっさとお膳の上を片づけてもらい、私達は一応楽しみにしていた温泉へ。宿備え付けの浴衣とバスタオルとタオルを持ち、
いざ温泉へっ!タオルには「名物ゴンドラ風呂」と印刷されていたけど、入れないんじゃ
「広告に偽りアリ」だわよねぇ。
ひとまず内湯へ。(内湯と露天は離れたところにある)この内湯は「展望風呂」となっていたので、ちょっと楽しみだったのに、
入ってみたら驚いたっ!貸し切りできるはずよね、この狭さっ!だって、カランが2つしかないんだよっ!4人で入ったのに3人
までしか湯船に入れないし(無理矢理4人で入ったら1人は立っていないとダメだった)、こんなのありぃ?

うたい文句の展望風呂も一体何が展望できるのは全く分からないくらいに何も見えないし、むしろ外から見られそうだった;
早々にお風呂から上がってしまいました。部屋に戻ると布団が敷いてあったけど、これまた「うっ!」というくらいの「せんべい
布団」、トイレは後から作ったみたいで妙に狭く、一応洋式なんだけど立ち上がろうとするときは気をつけないと、前の壁に頭を
ぶつけてしまうし・・・。極めつけは、
ぴっちり閉らないのは襖や障子だけでなく、雨戸や窓までもだった。一体この宿ってなに?

それでも夜中、小麦と咲矢が寝静まってから、夜には非常に強い秋桜と私は露天に行ってみた。さすがに深夜ともなると誰も
いなかったけど、私達の上の階(2階建てで私達の部屋は1階)ではN○Tの営業所の忘年会を兼ねた泊まり客がいたので、
ずっとうるさかったし、天井がミシミシ言ってて、いつか抜けるなとちょっと怖かった。

露天の方も内湯と同じでカランが2つしかなくって、かなりびっくり!(@o@;)でも湯船は内湯に比べるとずっと広くて、気持ち
良かったけど、今度は温泉のお湯がぬるい〜!12月の深夜はかなり寒いのに、こんなぬるいお湯じゃ風邪をひいてしまう。
普通、露天ってお湯が熱いものなんだけどねぇ。それでもずっとつかっていると熱くなってくるので、足だけつけて秋桜と話し
込んでいたら、低温火傷をしたらしくヒリヒリしてきてしまった。(←ばか;)
部屋に戻って来てからもそのまま秋桜とは朝の5時まで話し込んでしまった。

12/4、起床時間。朝食もお部屋食のため、有無を言わせず布団を上げに来る。まだ寝てるのに〜〜;
頭がボーッとしたまま、布団を上げているのを見ていたんだけど、フト部屋の上り口を見ると、そこにはすでに朝食が置かれて
いた。いや〜ん、埃かぶっちゃうぅ〜。ちょっとハラハラドキドキ状態しながら歯磨きして朝食の準備万端さっ!

朝食メニユー 朝食のメニューは、ごはん、おみそ汁、サラダ、かまぼこ、鮭の切り身、そして
1人鍋。ちなみに1人鍋の中味はなんと大根の煮物。まぁ、これはおいしかった
からいいけど、鮭の切り身は最大幅2.5p、長さ約10pという超ミニミニサイズ。
目が悪い私はパッと見た時「ししゃも」が1匹お皿に乗っているのかと思ってしま
った。お茶を飲もうと思って急須を見たら夕べのお茶の葉が入ったままで、これ
にはさすがにムッとして電話をしてとりかえてもらったけど。
宿入口 この頃にはもう何もこの宿には求めていなかったので、そそくさと食事をして、身支度を整えて
チェックアウトへ。
玄関のところでは女将が「記念に玄関のところで写真を撮ってあげるわ」と言ってくれたけど、
まぁ、確かに記念にはなるわね。
だって、こんなにヒサンな宿ははじめてだったもん。
帰りがけ、女将に「またいらっしゃい」と言われたけど、もう二度とくるもんかっ!
心に誓った4人であった。

最初の希望は結局、リーズナブルで露天があるという点だけだった。ちなみにお1人様1万円なり。あっ、でもこの内容じゃ
ちっともリーズナブルという気がしないか・・・。

こんな思いをしてもまだ温泉病は4人とも直らず、「こうなったら湯河原リベンジだーっ!もっといい宿探すぞ」と事あるごとに
言っているのだ。そして2000年10月。鬼怒川温泉行きが決定した・・・。今度こそ畳の上でゴロゴロだーーーっ!

−お・わ・り−

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